「介護と仕事、もう両立できない。辞めるしかないのかな」——そう思い詰めている方に、まず知ってほしい結論があります。介護離職は年間約10.6万人(総務省 令和4年就業構造基本調査)と決してめずらしくない一方で、「辞めたら楽になる」は誤解になりやすい選択です。収入減・再就職の壁・孤立という三重苦が待つことも。法律で定められた両立支援制度(介護休業・介護休暇・給付金)と介護サービスを組み合わせれば、辞めずに乗り切れる場合が多くあります。この記事では、辞める前に確認してほしいことを整理します。

介護離職の現状——年間約10.6万人

総務省の令和4年就業構造基本調査によると、過去1年間に介護・看護を理由に離職した人は約10.6万人。前回調査(2017年)から約7千人増えています。約8割が女性で、働き盛り・管理職世代の50代が中心です。

「親の介護で辞める」は、誰にでも起こりうる話です。だからこそ、勢いで決める前に、辞めた後に何が起こるかを知っておきましょう。

なぜ「辞めたら楽になる」は誤解になりやすいのか

① お金の問題:収入は止まり、介護費用は続く

介護費用は在宅でも施設でも毎月かかり続けます。自分の収入が途絶えると、親の年金・預金と自分の貯金を取り崩す生活に。介護は何年続くか誰にも分かりません。長期戦の途中で家計が先に力尽きるのが、介護離職のいちばん怖いシナリオです。

② 再就職の壁:ブランクは思った以上に重い

介護が終わったあと、同じ条件で再就職できるとは限りません。介護離職した人の多くが無職のまま介護を続けており、再就職できても収入水準が下がるケースが少なくありません。

③ 心の問題:介護に専念すると、かえって追い詰められる

仕事は収入だけでなく、「介護以外の世界」・人との接点・自分の役割をくれる場所でもあります。辞めて介護一色になると、閉じた関係の中で疲労と孤独が濃縮され、介護うつのリスクが高まります。「仕事があるから続けられる」という側面は、失ってから気づきがちです。

辞める前に使える制度(法律で決まっています)

介護休業・介護休暇の詳細記事もあわせてどうぞ。

制度内容
介護休業対象家族1人につき通算93日・3回まで分割取得可。雇用保険から賃金の約67%の介護休業給付金
介護休暇年5日(対象家族2人以上なら10日)。時間単位で取得可。通院付き添いやケアマネ面談に
短時間勤務等時短・フレックス・時差出勤・費用助成などから会社が措置を用意
残業・深夜業の制限請求すれば所定外労働の免除、深夜業の制限が受けられる
  • パート・契約社員など有期雇用でも条件を満たせば取得可能です
  • 2025年4月からは、介護に直面した労働者への個別周知・意向確認が企業に義務化されるなど、両立支援は強化されています(厚労省・育児介護休業法)

いちばん大事な考え方:「93日は介護をする期間」ではない

介護休業の93日を「自分が介護に専念する期間」と考えると、休業明けに行き詰まります。そうではなく、**「両立できる体制を作るための準備期間」**と捉えてください。

93日でやることは:

  1. 要介護認定の申請(結果まで約30日)
  2. ケアマネジャーを決め、ケアプランを作る
  3. 訪問介護・デイサービス・ショートステイなどサービスの組み合わせを試す
  4. 必要なら施設探し・見学を進める
  5. 「自分が毎日手を動かさなくても回る仕組み」を完成させる

介護の主役はプロに、自分は司令塔に。 これが両立の基本形です。

会社への伝え方

  • 隠さないこと。介護を隠して疲弊し、突然退職——が最悪のパターンです
  • 上司や人事に「親の介護が始まった。両立したいので制度を使いたい」と早めに相談を。2025年4月以降、会社には相談を受けて制度を個別に案内する義務があります
  • 通院付き添いなどの単発の用事は介護休暇(時間単位)、体制づくりの集中期間は介護休業、と使い分ける

それでも「辞めたい」と思ったら

無理に「絶対辞めるな」とは言いません。ただ、決める前にこの順番だけ試してください。

  1. 地域包括支援センターとケアマネに「仕事を続けたい」と伝える——両立前提のケアプランを一緒に考えてくれます
  2. 使える制度を全部使ってみる(介護休業・休暇・時短・給付金)
  3. 施設入居も選択肢に入れる——特養や民間施設への入居は「見捨てること」ではなく、両立の有力な形です
  4. それでも無理なら、転職(介護と両立しやすい働き方への変更)を退職より先に検討——収入をゼロにしないことが最優先です

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出典・参考

まとめ

介護離職は年間約10.6万人。しかし「辞めたら楽になる」は誤解になりやすく、収入・再就職・孤立の三重苦につながりがちです。まずは法律で決まっている両立支援制度(介護休業93日=体制づくりの準備期間・介護休暇・給付金・時短)と介護サービスを総動員し、「自分は司令塔、実働はプロ」の形を作りましょう。会社には早めに相談を(2025年4月から個別対応が義務化)。それでも難しいときは、退職の前に施設入居や働き方の変更を。あなたの人生と収入を守ることが、結果的に親を守ることにもなります。両立の悩みは、AIアドバイザーにも気軽に相談してください(無料・登録不要)。