親の最期をどこでどう迎えるか——これは、多くの家族がいつか向き合うテーマです。結論から言うと、看取り(ターミナルケア)は、対応体制のある介護施設でも受けられます。大切なのは、①本人の意思とご家族の希望を早めに話し合っておくこと(人生会議・ACP)、②入居先が「看取りまで対応できるか」を確認しておくこと、③無理な延命ではなく穏やかさを軸に考えてよいこと。この記事では、施設での看取りの進め方・費用・家族の心構えを、はじめて考える方にもわかるように整理します。
看取り・ターミナルケアとは?
看取りとは、回復の見込みが乏しくなった方に対して、延命そのものより本人の苦痛をやわらげ、穏やかに最期の時間を過ごせるように支えるケアのことです。痛みや息苦しさをやわらげる医療的なケアを含む場合は「ターミナルケア(終末期ケア)」とも呼ばれます。
ここでの主役はあくまでご本人です。「どこで過ごしたいか」「どこまでの医療を望むか」を、本人の意思とご家族の希望を尊重しながら決めていきます。無理な延命処置をしない、という選択も、決して親を見捨てることではありません。
看取りはどこでできる?(場所の選択肢)
最期を迎える場所には、主に次のような選択肢があります。
- 自宅:訪問診療・訪問看護・訪問介護を組み合わせ、住み慣れた家で過ごす。家族の負担は大きくなりやすい
- 介護施設:特養や介護付き有料老人ホームなど、看取り対応の施設で居室で過ごす
- 病院:医療が必要な状態のとき。緩和ケア病棟(ホスピス)という選択肢も
- 介護医療院:長期の医療と介護を一体で受けられる施設
どれが良い・悪いではなく、本人の状態・希望・ご家族が支えられる体制で選びます。在宅から始めて、途中で施設や病院に切り替えるのも自然な流れです。
介護施設で看取りをお願いするには?
施設での看取りを考えるときは、次の点を確認しておきましょう。
1. 「看取りまで対応できるか」を必ず確認
同じ種別の施設でも、看取りへの方針は施設ごとに異なります。「状態が悪化したら退居・入院が必要」という施設もあれば、「居室で最期まで」という施設もあります。入居前の見学・面談で、看取りの実績や方針を聞いておくことが、後の安心につながります。
2. 医療との連携体制を確認
看取りには、協力医療機関・訪問診療医・訪問看護との連携が欠かせません。「急変時にどう対応するか」「夜間の連絡体制はどうなっているか」を確認しておきましょう。
3. 本人・家族・施設で方針を共有する
施設での看取りは、本人・家族・施設・医師が話し合い、**看取りに関する同意(看取り介護の計画)**を作って進めるのが一般的です。途中で気持ちが変わったら、方針を見直すこともできます。
家族で早めに話し合う「人生会議(ACP)」
厚生労働省は、もしものときに備えて、本人・家族・医療介護の専門職が繰り返し話し合っておく取り組みを「人生会議(ACP/アドバンス・ケア・プランニング)」として広めています。
話し合っておきたいのは、たとえばこんなことです。
- どこで、どんなふうに最期を過ごしたいか
- 延命処置(人工呼吸器・胃ろう・心肺蘇生など)を望むか
- 大事にしたいこと(痛みがないこと、家族がそばにいることなど)
- 本人の代わりに判断を任せられる人は誰か
元気なうち、または状態が落ち着いているうちに話しておくことがポイントです。いざというときにご家族が「これで本当によかったのか」と迷い、後悔することを減らせます。話しにくいテーマですが、「縁起でもない」で終わらせず、少しずつでも共有しておきたいところです。
看取りにかかる費用の考え方
施設での看取りは、通常の入居費用(居住費・食費・介護サービス費)に加えて、看取り介護加算などがかかる場合があります。これは介護保険の対象で、自己負担は原則1〜3割です。
- 加算の金額は施設種別や状態により異なります。具体額は施設・ケアマネジャーに確認を
- 訪問診療・訪問看護を利用する場合、その医療費は別途かかります
- 1か月の介護費用が高額になったときは、高額介護サービス費で負担が戻る場合があります
お金の不安は一人で抱えず、担当のケアマネジャーや施設の相談員に率直に相談して大丈夫です。
家族の心構え——「頑張りすぎない」看取りを
看取りの時期は、ご家族の心と体にも大きな負担がかかります。
- すべてを一人で背負わない:施設・医師・訪問看護など、専門職に頼ってよい時期です
- 「できなかったこと」より「そばにいた時間」を:完璧な看取りはありません。手を握る、声をかける——それだけで十分に意味があります
- 自分の休息も大切に:交代できる家族がいれば分担を。介護疲れをためこまないで
- わからないことは早めに聞く:急変時の連絡先、してほしいこと・してほしくないことを、施設と共有しておく
そして、看取りのあとに「あのときこうすればよかった」と自分を責めてしまう方は少なくありません。精一杯そばにいた、その事実だけで十分だということを、どうか忘れないでください。
相談先
- 担当ケアマネジャー:看取りに向けたケアプランの調整
- 施設の相談員・看護職:施設での看取りの方針・体制
- 地域包括支援センター:在宅での看取りや制度の相談
- かかりつけ医・訪問診療医:医療面の方針、痛みの緩和
看取りに対応する施設は、目的・条件から探すやエリアから探すから地域別に調べられます。
関連記事
出典・参考
- 厚生労働省「『人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン』の改訂について」(在宅・介護施設を含む療養の場に対応し、ケア従事者もチームに含めた改訂):https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000197665.html
- 厚生労働省「『人生会議』してみませんか」(ACP/アドバンス・ケア・プランニングの普及啓発):https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02783.html
まとめ
看取り・ターミナルケアは、延命よりも本人が穏やかに最期を過ごせることを大切にするケアです。看取りに対応した特養や介護付き有料老人ホームなど、施設でも受けられます。後悔を減らすために、①元気なうちに家族で「どこで・どんなふうに過ごしたいか」を話し合う(人生会議・ACP)、②入居先が看取りまで対応できるか・医療連携はどうかを確認する、③費用や不安はケアマネジャー・施設に率直に相談する、の3つを意識してみてください。そして何より、そばにいた時間そのものに意味があること。つらい気持ちは、AIアドバイザーにも気軽に話してみてください(無料・登録不要)。